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まずは土作りから!自然農法で野菜を作ってみよう

作成日:2016.06.14

最終更新日:2016年6月14日

カテゴリー:シニアライフ

自然農法で野菜作りを始めると、まずどのような土作りをすればいいのか考えるでしょう。
土作りは、農業の基本でありながらわからないことが多いですよね。

しかし、自然農法の目指すところがわかれば、土作りもおのずと分かってきます。野菜作りがもっと楽しくなるはずです。

この記事では、自然農法の土作りを初心者の方にもわかりやすく説明します。
自分の畑の土の状態や、自然農法に適した土にするための道筋がよくわかるでしょう。

1.自然農法はまず土作りから


自然農法とは、耕さない、肥料を与えない、農薬を使用しないことを特徴とした農法です。
化学的な肥料農薬を一切使わないため、環境に一切影響ありません。土壌と作物そのものがもつ本来の威力を発揮させることによって、作物本来の美味しさを引き出すことが出来ます。

安全で、美味しい野菜を作るために、まずは土作りから始めましょう。

1-1.土作りが大切な理由

自然農法を含む農業において、土作りは最も大切です。
なぜなら、米や野菜は土を通じて空気や水や栄養成分などを吸収するからです。

慣行農業では、多くの成果を上げている人たちを篤農家(とくのうか)と言います。まず、慣行農業というのは、多くの生産者が行っている一般的な農法のことです。
篤農家は、米や野菜が持つ力を十分に発揮できるよう、全知全能をかたむけています。彼らの成果が素晴らしいのは、土作りに優れているからです。

自然農法で作った野菜は、篤農家が作ったものに似ているところがあります。どちらも若いうちに限られた肥料の中で育つため、味が濃く美味しく出来上がるのです。

味が濃く美味しい米や野菜を作りためには、肥料を多く使用し、作物を甘やかす環境を作ってはいけません。作物が将来しっかりと強く育つように、若いうちに肥料を抑え、根を広く張れる環境を整えましょう。

1-2.良い土の条件

良い土作りは、美味しい作物を育てる上で、とても重要です。
では、どのような条件を満たせば良い土になり、美味しい作物を作ることができるのでしょうか。

1-2-1.保水性と排水性に優れている

保水性と排水性が良いことは、良い土を作る上で大変重要です。もちろん、自然農法だけに言えることではありません。

植物は、土に対して相反した2つの基本的な要求をしています。
ひとつは、「保水性」と言い、土が湿っていて水分がもらえること。
もうひとつは、「排水性」と言い、余分な水を排出することです。

乾燥していれば、根は水を吸収できません。しかし、湿りすぎていると、根が酸素を吸えず腐りやすくなってしまいます。

土の構造には、団粒構造というのがあります。この団粒構造によって、保水性と排水性が変化し、土の良し悪しに関わるのです。

構造的には、土壌粒子だけで固まらず、粘土や腐葉土でつながって塊になっています。保水性が多い団粒が集合した間には隙間が多く、これが排水性を良くしています。

このような土がどのようにしたらできるのかは、解明されていません。しかし、団粒構造に粘土や腐葉土が必要なことはわかっています。

一説には、ミミズが土を食べて吐き出すと、その土が団粒構造を作りやすいとも言われています。

1-2-2.豊富な有機物成分が含まれている

土のなかに含まれる有機物成分の量も大切です。

有機物成分の比率が多ければ、土は豊かになります。この有機物成分に、肥料分やミミズや土壌菌が含まれているからです。有機物成分を多く含む土は、健康で病気が発生しにくくなります。

土の中には数え切れないほどの土壌菌がいます。畑の状態によって、繁栄する土壌菌は変化します。自然農法の土に近づくほど、健全な土壌菌の勢力が増すようになるのです。

自然農法の土が優れているのは、この有機物成分が慣行農業の土よりはるかに多いためです。

2.土作りの方法


畑の土は、砂と粘土と有機物成分でできています。有機物成分とは、落ち葉、動物や昆虫の死骸、生ごみなど、微生物によって分解されるものを言います。
土の比率は畑ごとに違っています。

粘土の比率が多ければ保水性が高くなり、排水性が悪くなります。
逆に土の中の砂の比率が高ければ、保水性が落ち、排水性が高くなります。

土の中の有機物成分が多い場合は、保水性が上がります。

2-1.土は耕さない

自然農法では、基本的に耕しません。表面を少し耕す人もいますが、表土が流出するので、あまり適切ではありません。

土を耕すことには、それぞれメリットとデメリットがあります。

メリットは、土が柔らかくなる、肥料を均一に分布できる、空気が入るなどです。慣行農業ではこのメリットを考慮し、耕しています。
デメリットは、表土の流出です。
まず、土が柔らかくなると、雨で地表がたたかれます。雨水が流れると表土も共に流れ出しやすくなります。

表土は、腐葉土などの肥料部分が含まれているため、畑の中で最も栄養が多い部分。しかし、雨水によって表土が流れ出ることは非常に多く、野菜作りを進める上でかなり致命的です。

自然農法は、耕さないため草が根を張り、雨水で表土が流出することはありません。
表土の上に枯葉や雑草を刈ったものを載せます。そのため、雨水が表土を直接たたくことも防ぐことができます。
枯葉や雑草を刈ったものは、土の中の微生物に分解され、有機物になります。これを長期間繰り返していくと、自然農法にぴったりの土が出来上がるのです。

2-2.虫や草を敵としない

自然農法の場合、人間が手を加えることはなるべく避け、自然との共存・共生を目指します。
自然農法では、人は土を耕しません。しかし、その代わりにクローバーやミミズが土を耕してくれるのです。自然農法が進めば進むほど、畑のミミズやクローバーの量は増えていきます。このミミズやクローバーが耕す土の量は、人間が耕す量をはるかに超えています。

ここでのクローバーは、白クローバーのことを指します。多年生で、草丈があまり高くないので、野菜の成長を邪魔しません。自然農法では他の雑草の成長を防ぐため、畑にクローバーをまくのです。

白クローバー以外に、レンゲやラジノクローバーなどが使われることもあります。レンゲは、白クローバーほどの高さですが、生命力が弱いのです。ラジノクローバーは、白クローバーより丈が高く、強い生命力を持っています。かなり刈り込んでも元気なので、その点では便利です。白クローバーは、強く刈り込むと弱るので、また種を蒔かなくてはならない時もあります。

2-3.土を整える

次に、土を整えましょう。
好きな作物を育てやすくするために、土の中に含まれる養分を調整するのです。
また、pHという酸性・アルカリ性の度合いを示す値を整える必要もあります。野菜によって、育ちやすいpHは異なります。
例えば、トマトは6.0~6.5、スイカは5.0~6.5、ホウレンソウは6.5~7.0などです。野菜によって好まれるpHの値は異なりますが、6.0~6.5くらいにしておくと、大体の野菜に対応することができます。

慣行農法では化学肥料を使うことにより土が酸性になりやすいので、消石灰を使って中性にします。化学肥料を一切使用しない自然農法では、この調整は不要です。

自然農法では、元肥は全く使いません。追肥は、鶏糞などの有機肥料を少し施します。

自然農法の畑では、枯葉などの腐葉土が堆肥となり、窒素分は十分に供給されています。豆科のクローバーやカラスノエンドウの有機物成分は、特に窒素分が多く含まれ、分解すれば良い肥料になります。
また、カリウムは、普通の土には多く含まれ、枯葉などが腐葉土になる過程で土中に多量に放出します。

畑から収穫物を持ち出す時、畑にはリン酸が不足してしまいます。有機肥料の鶏糞や米ぬかを土に撒くといいでしょう。分解するまでに少し時間がかかるため、植物の根から離したところに撒くのがポイントです。また、過燐酸石灰も燐酸を多く含んでいますが、化学肥料なので自然農法に利用するのは避けるべきです。

2-4.畝を作る

次に、畝を作りましょう。
自然農法だからと言って、畝づくりに特別なことがあるわけではありません。

畝とは、野菜の栽培床のことで、土を盛り上げて作ります。
自然農法の畝は、慣行農法の畝とは大きく異なっています。通路から手が届く程度に幅が広く、低い台のように土が盛り上がっています。

畝を作る理由は、いくつかあります。最も大きな理由は、その土地の性質によりますが、水はけの調節です。

畑の水はけが良くないところでは、野菜類は呼吸ができず成長が遅れます。
そのようなところでは、畝を少しでも高くして、バランスのとれた水はけの良いところにします。
したがって、乾燥地で畝を作ることは、マイナスになります。

その土地の水はけが良いか悪いかで、畝は考えれば良いでしょう。

3.土作りのポイント


自然農法は、土作りが全てと言っても良いでしょう。
理想は、腐葉土などの有機物を多量に含んだ山の土です。

まず、自分の畑の土がどのような状態にあって、どのような手順で自然農法の土に変えていくかを考えましょう。その上で、土に含まれる腐葉土の量がどのくらいかを考えることが大切です。
畑の土は、枯葉や草を表面に敷くことを繰り返していくと、多肥料多消毒の慣行農法の土は3〜4年くらいで有機農法の土に近くなります。自然農法に合った土にするためには、そこから更に3年くらいかかるでしょう。

慣行農法で野菜を長い間育てた畑は、自然農法の土から最も遠いところにいます。
両者の半ばにあるのが、有機肥料をたくさん入れた有機農法の土です。
クローバーやススキなどの雑草が生い茂った原野や耕作放棄地の土は、一見畑に向かないようで、自然農法の土にかなり近いところにあります。原野や耕作放棄地からは、1年か2年でしょう。

どこからでも自然農法の土に変えることは可能です。

3-1.土作りには時間がかかる

自然農法の土を作るには、どうしても時間がかかってしまいます。
この時間の短縮はなかなか難しいもの。気長に野菜を育てながら、土も同時に育てていきましょう。

自然農法の土作りでは、何故時間がかかってしまうのでしょうか。

枯葉や雑草や野菜の有機物成分などは、すべて同じ成分からできています。成分としては、セルロース、ヘミセルロース、リグニンの3種です。この成分は、たいへん分解しにくいものです。
セルロースとヘミセルロースは糖がつながったものですが、なかなか分解せず、地表で1〜2年かかります。
リグニンはさらに分解しにくく、3年くらいかかります。

これらは、分解すれば良い肥料になるのですが、それまでは野菜の栄養にはなりません。

やり方は、畑の雑草を刈って、野菜の根元に置くだけです。土のなかにすき込んではいけません。また、野菜を作った後の有機物成分も、10cm程度に小さく刻んで畑に戻します。

3-2.土の中に雑草はすき込まない

自然農法では、土の中に雑草をすき込まず、地表に置きます。

土に含まれる栄養は、地表面が最も豊かです。
いろいろな虫、微生物、細菌、土壌菌、湿気、空気などが地表面には多く、枯葉や雑草の有機物成分を最も早く分解しやすいのです。
これは、例えば地表からの深さを変えて枯葉を埋めておいて、その分解度を調べればすぐにわかります。
刈った草を地表に置くのは実に合理的な方法です。

どの過程でも野菜を育てながらやることが近道です。野菜を育てれば、有機物成分もたくさんできます。収穫と一緒に土作りも楽しめます。

3-3.慣行農法から自然農法を目指す場合

まず化学肥料はやめて有機肥料に変えましょう。消毒も殺虫剤も少しずつ減らします。要するに有機農法を目指すのです。
有機農法の段階にまで達したら、畑を耕すのをやめて、少しずつ肥料の量を減らしていきます。
最後は、鶏糞一握りでいろいろな野菜ができるようになります。自然農法の土作りが完成します。
耕さなくても土はフカフカになり、バランスのとれた豊かな畑になったことを実感するでしょう。

4.おわりに

自然農法は、畑がどのような状態からでも始めることができます。

完成するには時間がかかりますが、いろいろな野菜を育てながら土作りも同時に楽しみましょう。

人に聞くのも大切ですが、自分で野菜や草をよく観察し、土の性質をよく調べることも重要です。自然農法の最高の先生は、人間ではなく、自然そのものです。

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