海沿いの家を買う前に知っておくべきリスクと対策~塩害、津波、湿気

海沿いの家は一面に広がる海をいつも眺められ、波の音を耳にしながらリラックスできるので、憧れている人も多いのではないでしょうか。
自然を身近に感じながら暮らしたい人にとって、海沿いの家は人気の場所。とくに湘南をはじめとする海辺の街は、独特な雰囲気がありおしゃれだと人気です。

しかし一方では、潮風による塩害対策や津波への備えなど、海が近いゆえの注意点があります。

そこでこちらの記事では、海沿いの家に住んで後悔しないための注意点や家づくりのポイント、物件を選ぶ際に大切なことなどを詳しく解説。海沿いにマイホームを持ちたい方は、安心して購入するための参考になさってくださいね。

他の地域との違い・注意点とは

海沿いの地域は、他の地域とは違う点に注意が必要です。こちらでは、海沿いに家を購入する場合の注意点について紹介していきます。

塩害

海沿いの家では塩害が発生しやすいのが特徴です。

塩害とは、海からの塩分濃度が高い潮風が、建物や屋外に置いている物に付着することで発生する害のこと。
とくに金属は表面に塩分が付着すると、そこからサビやすくなります。結果として腐食したり、故障の原因に。

塩害が発生しやすい金属製品には、次のようなものがあります。

  • エアコンの室外機
  • 給湯器
  • エコキュート
  • 自転車
  • 自動車
  • ポスト

塩害は地域や海からの距離、周囲の環境によって発生状況が異なりますが、湘南では海から2㎞以内のエリアを塩害地域としています。
塩害は金属製品をサビさせるだけでなく、植木が枯れやすくなったり、木製のウッドデッキが痛む原因にも。海沿いの家で後悔しないためには、家廻りの塩害対策は必須です。

潮風で洗濯物がべたつく

潮風も塩害の一種なのですが、吹く風に含まれる塩分で外干しの洗濯物がべたついてしまうことがあります。また砂や潮風のにおいが付着する、強風で洗濯物が飛ばされやすい、湿気により乾きにくいといった点も注意したいところです。

洗濯物への被害を最小限にするには、なるべく潮風に直接当たらない場所に干すか、室内干しをするのがおすすめ。海沿いの家には、室内に洗濯物を干せるスペースを確保するようにしましょう。

飛砂

海沿いのエリアは風が強く、その風によってビーチの砂が巻き上げられ、家全体に打ち付けられるという「飛砂」の被害も無視できません。

飛んできた砂が外壁や屋根に付いて汚れるのはもちろん、洗濯物を外干ししていると砂が付着しやすくなります。また窓を開けていると、室内に砂が吹き込んできて掃除が大変に。
海沿いの家では、飛砂対策も忘れずに行いましょう。

湿気

海沿いの風はさわやかで心地よさそうに感じますが、街中に吹く風と比べると一年を通して湿度が高いのが特徴です。海が近いことで空気に水分を含みやすいという理由から、海沿いの家では湿気対策も考えておく必要があるでしょう。

湘南のように背後に山があるような地形だと、海からの風が山で遮られてしまうため、全体的に湿気が高くなりがちです。また寒い時期よりも夏の暑い時期の方が、水分が蒸発しやすく湿気の被害が多くなります。

気密性の高い家で24時間換気をしていない状態だと、湿気により壁紙がはがれてきたり、カビが発生する可能性が。
収納など風が通り抜けにくい場所にも、湿気が溜まりカビが生えやすくなります。また洗濯物が乾きにくくなるのも、海沿いに暮らすデメリットです。

こうした湿気対策には毎日のエアコンやこまめな換気などが効果的です。

津波のリスク

海沿いということで忘れてはいけないのが津波のリスクです。日本は地震大国ということで、どこに住んでいても地震の被害から逃れることはできません。

とくに海沿いは、内陸の地域にはない地震に伴う津波が心配です。なるべくなら津波の影響を受けにくい湾になった場所や高台になっている場所、浸水被害を受けにくい場所で家を探すようにしましょう。

神奈川県で住まいをお探しの方は、こちらの記事も参考にしながら、津波のリスクや被害を最小限にする備えについて確認しましょう。

観光シーズンの渋滞・騒音問題

海沿いの中でも湘南エリアは、日本屈指の観光地ということで、観光シーズンの車の渋滞や騒音が気になる人もいるでしょう。特に湘南の海岸線と並行に走る国道134号は、鎌倉の由比ガ浜から江の島周辺にかけての観光地周辺で渋滞が起こりやすくなっています。土日や大型連休だけでなく、夏休みや年末年始、紫陽花や紅葉の時期になると、全国から観光客が押し寄せます。

湘南は観光客を中心に人が集まりやすいということで、騒音の問題も無視できません。土日などは車やバイクが走行する騒音や、集まって騒いだりする騒音が気になります。また自衛隊や米軍基地の周辺では、飛行機やヘリコプターが行き来する音が聞こえます。

シーズン中の渋滞や騒音問題による影響を最小限にする対策が必要です。

後悔しない家づくりのポイント

実際に海沿いに家を建てたりリフォームする場合、後悔しないためのポイントを押さえることが重要です。

塩害仕様の設備を選ぶ

家づくりを後悔しないためには、塩害対策が施してある設備を選ぶようにしましょう。エアコンの室外機や給湯器、エコキュートなど屋外に設置する住宅設備機器には、「対塩害仕様」や「耐重塩害仕様」の設備を選ぶことで、塩害被害を最小限にできます。

また塩害から自転車や自動車を守るために、車庫やガレージの設置もおすすめです。シャッター付きの車庫やガレージなら、夜間の塩害被害からも自転車やマイカーを守ることができます。

飛砂・強風にそなえる窓

海沿いは強風が吹きやすいことから、飛砂や強風対策も忘れずに行いたいものです。海側に窓を設ける場合は、窓の大きさやデザインをよく選ぶ必要があります。

スライド式の窓だとスライド部分に砂が溜まりやすく、窓の開閉に影響を及ぼす可能性が。
大開口の窓を取り付ける場合は、気密性の高い縦・横の滑り出し窓を選ぶといいでしょう。
明り取りの窓が欲しい場合は、はめ殺し(FIX)窓にするアイデアもあります。

窓サッシ自体に強化合わせガラスをはじめとする耐風圧タイプを選ぶと、台風などの強風でも窓が割れても飛散する心配がありません。
また雨戸やシャッターを窓の外側に設置したり、風でドアが急に閉まらないようにする「ドアクローザー」の設置も有効です。

塩害や飛砂を逃がす外水道の設置

塩害や飛砂の被害を最小限にするには、外水道を設置しましょう。台風や強風が過ぎた後には、外壁や車、自転車等に砂や塩分、木々の葉などが付着します。それを洗い流すのに、外水道が活躍します。

なるべくなら敷地内全体にホースが届くように水栓を設置してください。ルーフバルコニーなどの最上部にお湯を出せる水栓があると、建物の一番高い場所からシャワーのように温水をかけ、汚れを洗い流せます。

サーフィンなどのマリンスポーツを楽しむ方は、屋外に外水道と一緒にシャワースペースを設けるアイデアもおすすめです。

汚れが目立たない・洗いやすい外壁材を選ぶ

建物の外壁材を選ぶ場合も、海沿いならではのポイントがあります。

凹凸が多い外壁材を選ぶと、砂や塩分を洗い流しにくくなるので、なるべく表面がフラットな外壁材を選ぶようにしましょう。ガルバリウム鋼板や樹脂サイディングなど、いわゆる塩害に強い材質を選ぶのもいいでしょう。

また外壁材の色は、白っぽいものがおすすめ。黒や紺など濃い色を選ぶと、潮風で吹き付けられた塩が白く付着して目立ってしまいます。その点、白っぽい色だと、塩が付着しても気になりません。こまめに外壁を水洗いできる方以外は、外壁に白っぽい色を選ぶようにしましょう。

物件選びのポイント

海沿で暮らしたい人にとって、物件選びにもポイントがあります。購入後に後悔しないために、次のような点に気を付けましょう。

災害リスクを最小限に

海沿いの物件を選ぶ際には、災害リスクを最小限に抑えることが重要です。海沿いエリアで発生が予想される災害は、液状化現象や津波です。

液状化現象とは、細かい砂が多い地盤に水分が含まれ、地震などの強い揺れで地面がまるで液体のようになる現象のこと。砂地が多い海沿いは、液状化現象になるリスクもあります。
液状化現象から自分の家を守るには、自治体が出している「液状化予測マップ」などを参考にしながら家を探しましょう。

津波のリスクを最小限にするには、「津波・高潮ハザードマップ」を確認し、想定される津波を避けられるかのチェックが必要です。また標高の高い場所に土地を探したり、海から道一本離れるだけでも浸水の被害から免れられることも。

災害リスクは場所や津波の程度によって異なるため、その場所に応じたリスクや傾向、対策を把握しておくのがポイントです。

海塩害や飛砂、湿気など心配事からエリアを選ぶ

海の近くならではの塩害や飛砂、湿気などの問題は、同じエリアでも地形や風向きで影響に差が出ます。

リスクを極力軽減できる場所で、なおかつ必要な対策を講じるためには、そのエリアの気候や風土、特徴に詳しい専門家にアドバイスを求めることが、購入してから後悔しないための大切なポイントです。家探し・家づくりの計画は、地域の実情や環境に詳しい、地元密着の不動産会社やリフォーム会社に相談しましょう。

観光ルートを避けて物件を選ぶ

前述のとおり湘南は観光地としても人気が高く、シーズンになると車の渋滞や電車の混雑などで日常の足に影響するエリアもあります。

とはいえ湘南エリアすべてが渋滞や混雑するわけではありません。とくに混みあうのは特定の道路や場所だけで、そこを避ければ普段の生活に支障が出ない可能性も。

影響の少ないエリアを選んだり、通勤通学ルートを知るには、やはり地域の実態に詳しい不動産会社やリフォーム会社に相談するのが近道です。

 まとめ

海沿いの家には塩害や飛砂、湿気や津波のリスクなどがあります。これらのリスクを最小限にするには、必要な対策や家づくりの知識が欠かせません。
少しでも安心して海沿いの家で暮らすには、不安な部分をしっかりと相談でき、適切なアドバイスを受けられる会社を選ぶことが大切です。

住まいは、一生で一番大きな買い物といわれます。いざ購入してから「こんなはずでは……」と後悔しないためには、その地域に関する十分な情報や工事実績が必要です。

ネクサス・アールハウジング湘南は、湘南エリアに住むスタッフで構成された、地元密着型の総合不動産会社・リフォーム会社。海沿いの湘南ならではの知識をもとに、不動産の購入から間取りの提案、リフォーム(部分リフォームからフルリフォーム)までお任せいただけます。湘南でお住まいをお探しの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

記事監修

林 貴之(宅地建物取引士)

宅地建物取引士の有資格者。戸建・マンション・新築・中古と幅広い不動産仲介を経験。「中古戸建・中古マンション・新築戸建・リフォーム・リノベーションなど様々ある選択肢の中から、お客様の想い描く理想の暮らしに合った住環境、長期的な暮らしの視点から最適な物件をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください」

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